平成17年2月末,3社同時に訴える訴訟を提起した。
なお今回は興味もあって少額訴訟で提起することにした。
(訴状,当事者目録1枚,請求の趣旨1枚,請求の原因2枚で構成)
少額訴訟とは「60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて,原則として1回の審理で紛争を解決する特別の手続です。少額訴訟では,原則として,1回の期日で審理を終え,直ちに判決の言渡しがされます。」(
最高裁判所HPより引用)
少額訴訟の詳細・流れについては上記の最高裁のHP内に詳しく解説してあるので,ぜひ確認して頂きたい。
※サラ金会社相手の過払い訴訟(=不当利得返還訴訟)においては,相手方のサラ金業者が「みなし弁済が成立し過払いはない」と訴え出る(=ほぼパフォーマンス)ため,相手方の申し出,もしくは裁判官の職権により通常訴訟に移行する場合が多いようです。
平成17年2月末日
訴 状
○○簡易裁判所 御中
事件名 不当利得返還請求事件
少額訴訟における審理及び裁判を求めます。本年,この裁判所において少額訴訟による審理及び裁判を求めるのは1回目です。
訴訟物の価額 金23万0,962円
手数料額 金3,000円
証書
甲第1号証の1~3 契約書
甲第2号証の1(1)~(2)元利計算書(Sファイナンス株式会社作成)
甲第2号証の2(1)~(4)明細書(S信販株式会社作成)
甲第2号証の3 計算書(株式会社W作成)
甲第3号証の1~3 利息制限法による計算書(原告作成,被告毎)
※これが非常に分りにくい記載となってしまった。
3社同時に訴えるなら裁判官,書記官にも「どの会社宛の何の証書」かもっと簡単に分るように配慮すべきであった。下記のように書けばより良かった様に思うのだが・・・どうだろう?~改善案~証書
被告 Sファイナンス株式会社分
甲第1号証 金銭消費貸借契約書
甲第2号証 元利計算書(1)~(2)
甲第3号証 利息制限法による計算書(原告作成)
被告 S信販株式会社分
甲第4号証 金銭消費貸借契約書
甲第5号証 明細書(1)~(4)
甲第6号証 利息制限法による計算書(原告作成)
被告 株式会社W分
甲第7号証 金銭消費貸借契約書
甲第8号証 計算書
甲第9号証 利息制限法による計算書(原告作成)
~改善案ここまで~付属書類
1 訴状副本 1通
2 甲号各証写 1通
3 代表者事項証明書 被告毎1通
当事者の表示は,別紙当事者目録記載の通り
当 事 者 目 録
〒・・・-・・・・ ○○県■■■■■■■■■■■■(送達場所)
原告 逆襲の債務者
TEL:090-・・・・-・・・・
〒・・・-・・・・ 東京都■■■■■■■■■■■■(送達場所)
被告 Sファイナンス株式会社
上記代表者代表取締役 ■■ ■■
TEL:03-・・・・-・・・・(代表)
〒・・・-・・・・ 福岡県■■■■■■■■■■■■(送達場所)
被告 S信販株式会社
上記代表者代表取締役 ■■ ■■
TEL:092-・・・・-・・・・(代表)
〒・・・-・・・・ 京都府■■■■■■■■■■■■(送達場所)
被告 株式会社W
上記代表者代表取締役 ■■ ■■
TEL:075-・・・・-・・・・(代表)
以上
請 求 の 趣 旨
1 被告Sファイナンス株式会社は原告に対し、金4万4,058円及びこれに対する平成11年7月2日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。
2 被告S信販株式会社は原告に対し、金12万1,096円及びこれに対する平成10年7月4日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。
3 被告株式会社Wは原告に対し、金6万5,808円及びこれに対する平成11年6月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求めます。
請 求 の 原 因
1、被告等の表示
被告等は、全国に支店を持ち、原告のような消費者に対して小口の貸付を行う貸金業者である。なお、被告らは
(1)被告Sファイナンス株式会社は関東財務局長登録
(2)被告S洋信販株式会社は福岡財務支局長登録
(3)被告株式会社Wは近畿財務局長登録
をそれぞれ受けている。
2、原告と被告等との取引
(1) 原告は、平成8年5月30日被告Sファイナンス株式会社から金10万円を約定利息年39.931%で借り受け、平成11年7月1日まで継続的に金銭の借入、弁済を繰り返してきた。(甲第1号証の1)
(2) 原告は、平成7年10月28日被告S信販株式会社から金10万円を約定利息年29.000%で借り受け、平成10年7月3日まで継続的に金銭の借入、弁済を繰り返してきた。(甲第1号証の2)
(3) 原告は、平成6年11月11日被告株式会社Wから金25万円を約定利息年39.785%で借り受け、平成8年6月4日まで継続的に金銭の借入、弁済を繰り返してきた。(甲第1号証の3)
3、被告の不当利得
ところで、元々被告等の原告に対する請求金額は、利息制限法を超過する無効な利息を元に計算されたものであって(甲第2号証1~3)、利息制限法超過利息の弁済については、元本に充当されるべきである。
そこで原告は、被告等と金銭消費貸借契約を行った日から完済に至るまで取引経過を、利息制限法所定の金利により再計算を行った(甲第3号証1~3)ところ、
(1)被告Sファイナンス株式会社に対しては金4万4,058円
(2)被告S信販株式会社に対しては金12万1,096円
(3)被告株式会社Wに対しては金6万5,808円
それぞれ過払い金が生じていることを知った。これは元本がないのにそれを全く知らずに支払ったものであるから、被告等の不当利得金となる。
4、悪意の受益者
被告等は貸金を業として営んでおり、被告等の貸付行為の利率が利息制限法を越えるものと当然に認識していたものと思われる。
にもかかわらず、貸金業規制法17条18条を満たす書面を発行していないとなると、同法43条の「みなし弁済」の適用はなく、結果として利息制限法超過利息の受領については悪意であったと判断できる。
よって原告が残債務のないことを知らずに払った部分については被告等がそれぞれの不当利得金を原告に返還するまで年5%の遅延損害金(民法704条)が付与されるものと考える。
なお、貸金業者に対する不当利得返還請求事件においては、利息制限法を越える金額の受領における「善意」「悪意」の立証は、その責任が金融業者側に転化されるものと考える。
5、まとめ
よって原告は、
(1)被告Sファイナンス株式会社に対しては金4万4,058円
(2)被告S信販株式会社に対しては金12万1,096円
(3)被告株式会社Wに対しては金6万5,808円
の不当利得返還請求債権を有しており、被告等にはこの不当利得金の発生した翌日
(1)被告Sファイナンス株式会社については平成11年7月2日
(2)被告S信販株式会社については平成10年7月4日
(3)被告株式会社Wについては平成11年6月5日
から、支払済みに至るまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
以上